テクニカルライターってなに?
投稿日:2020年11月30日
カテゴリー:ライティング
投稿者:
まっさん
こんにちは。まっさんです。
当ブログではマニュアル(主に取扱説明書)の制作方法やコツ、業務フローを体系的にご紹介していますが、今回は「テクニカルライター」という職業についてお話しします。
テクニカル“ライター”というくらいだから、「取材・執筆」することが仕事じゃないの?
と思われる方も多いのではないでしょうか。
あまり聞き慣れない「テクニカルライター」という言葉、Wikipediaによれば以下のように定義されています。
■「テクニカルライター」とは?
A technical writer is a professional information communicator whose task is to transfer information between two or more parties, through any medium that best facilitates the transfer and comprehension of the information.
(URL:https://en.wikipedia.org/wiki/Technical_writer)
つまりテクニカルライターとは、メディア(紙・WEB・動画など)を介して情報を受け取る人々に対し、その情報を容易に理解できるように工夫して伝達するという職業です。
具体的には、製品の操作方法をわかりやすく伝えるために工夫してライティングを行う仕事といえるでしょう。
■テクニカルライターの業務フロー
一概に「わかりやすいライティング」といっても、そこに至るまでのプロセスというものがあります。
具体的には「調査」「取材・執筆」「レビュー」の3つの工程を経て「わかりやすいライティング」を完成させます。
下記では、工程ごとにテクニカルライターが行う業務の流れをご紹介します。
なお、ここでは「外部のライターがメーカーに常駐している場合」を想定しています。
●「調査」
まずは、客先の既出のマニュアルや、執筆対象の製品の流用元となるマニュアルを確認することからはじめます。
ここでは執筆対象の製品を理解する前に、元々それらのマニュアルが抱えている「問題・課題」を調査・発見します。
ポイントは「危険警告表示・文章・イラスト・補足説明・用語・仕様」それぞれが、ユーザーにとってわかりやすく説明されているかということです。
(※詳しくはマニュアル健康診断からお問い合わせください。)
また、WEBマニュアルであればユーザーログを解析して、頻繁に見られているページを調べたり、サポート窓口への問い合わせ内容をヒアリングして、頻繁に問い合わせのある内容を調査したりします。
そして、調査して発見した「問題・課題」の解決策を考えます。
具体的には、
(1)問い合わせの多かった操作や内容について、マニュアルでイラストやページを増やして説明を充実させる。
(2)他社マニュアル(モデルケース)を参考にしてコンテンツを見直す。
(3)用語のブレを統一する。などが挙げられます。
ここでいったん客先に、マニュアル制作についてのご提案を行います。
晴れて調査結果の内容と解決策が認められれば、スケジュールを組んで次の段階へ進みます。
●「取材・執筆」
この段階でやっと、みなさんがライターといわれて想像するような取材や執筆作業を行います。
ここでいう「取材」とは、設計・開発に入り込み、
・開発の上流工程から製品を理解する
・開発スケジュールを把握する
・「材料(=)」を調達する
ことを指します。
取材・執筆は、客先の製品開発プロセスに沿って以下のように行われます。
(1)開発計画・・・客先が作成した商品企画書から開発コンセプトや年度発売モデルの特徴を読み取り、マニュアルに記載する操作説明やイラストなどを考えます。
(2)製品設計・・・製品の設計に伴い、製品の新機能や特徴を設計者に取材し、それを原稿に反映します。
(3)生産準備・・・設計仕様が決まったら、図面を入手して、仕様や製品イラストなど必要な情報を読み取ります。
また3Dモデルから、操作説明につかうイラストを取り出したり、実機やシミュレーター(ソフト)を借りて製品の動作を調べて原稿作成を行ったりします。
(4)生産・・・生産にあわせてマニュアルを校了(完成)させます。
(5)販売・サービス・・・市場結果を反映するために、マニュアルを改正することもあります。
●「レビュー」
無事マニュアルが校了したらそれで終了、というわけではありません。
この工程では、マニュアル制作の過程で発生した問題や課題を洗い出し、次の制作に向けて効率化できるよう改善活動を行います。
各工程でのアプリや使用するツール、業務フローの手順を必要に応じて改定することで、品質を担保します。
客先が品質システムに関する国際規格「ISO9001」に準拠した企業の場合、DR(デザインレビュー)やPDCAを行い、品質改善をして効率化をはかります。
■まとめ
今回は、「テクニカルライター」という職業について、ざっくりご紹介いたしました。
普段あまり耳にすることのない職業ですが、少しはご理解いただけたのではないかと思います。
弊社では、ベテランのテクニカルライターが多数在籍しています。
マニュアル制作での業務支援をご検討されていましたら、ぜひ一度お問い合わせください。
それでは!