構成を見直すだけで激変!マニュアルの情報整理術
投稿日:2025年06月25日
カテゴリー:ライティング
投稿者:
J(ジェイ)
既存のマニュアルをレビューするなかで、
「やけに情報がごちゃついている」
と感じることがあります。
説明文そのものはわかりやすく、
きちんと読み込めば問題なく理解できるのに、
不思議と読みづらさを感じる。
これは非常にもったいないことです。
なんとなくの印象で、せっかくの説明が読み飛ばされてしまったり、
マニュアルそのものを読まれなくなってしまうことにつながるからです。
何故わかりにくいのか、どこにわかりにくさを感じるのか、
改めて原因を考えてみました。
必ず当てはまるというわけではないのですが、
「文章ではなく、構成に原因があるのでは?」と気づきました。
わかりにくいと感じるマニュアルの構成には、以下のような特徴と問題がありました。
①情報がまとまりすぎている
→欲しい情報を引き出しにくい
②インターフェイスに沿って、機能が順に紹介されている
→ユーザーが読みやすい順番になっていない
それぞれについて、少し深く考えてみます。
①情報がまとまりすぎている
情報がまとまっていることが問題になる、というのは想像しにくいものです。
むしろ、まとまっているほうが整理されていて良いことのように思います。
ここでは、「まとまりすぎ」なのが問題なのです。
例えば、散らかった部屋を整頓する場合を考えてみます。
次の画像を見てください。
Aの棚とBの棚、使い勝手が良さそうなのはどちらでしょうか?
片付けをするときは、Aの棚のほうが楽かもしれません。
しかし、使いたいときに取り出そうと思うと、ちょっと時間がかかりそうです。
上の服も下の服も靴下もパジャマも、全部一つの引き出しに入っていたら、
目的の物は探しにくいですよね。
対してBはどうでしょうか?
服、日用品、趣味の物で別々の棚になっていて、
その中でさらに引き出しが分かれています。
これなら、引き出しのラベルをぱっと見て目的の物を取り出しやすいでしょう。
マニュアルでも同じことが言えます。
棚や引き出しのラベルは、そのまま目次構成と同じです。
Aのような状態の目次をよく見かけますが、
「まとまりすぎ」ていて、結局どこに欲しい情報が書かれているのかがわかりにくいですよね。
Bのように、大きなまとまりと小さなまとまりをうまく整頓できていると、
目次から欲しい情報があるページをさっと見つけやすくなります。
ただし、整理のしかたにも色々あります。
先程の例では、大きなまとまりを「衣類」「日用品」「趣味」と分けていますが、
「洗面所で使うもの」「リビングで使うもの」「寝室で使うもの」
というまとめかたも考えられますよね。
どういうまとめかたが使い勝手が良いのか、
それは使う人、つまりマニュアルの読み手に依存します。
このように、まとめかた一つとっても色々工夫することができます。
そしてもう一つ、どんな順番で並べるか、という問題もあります。
最初に挙げたうちの2つ目の問題です。
②インターフェイスに沿って、機能が順に紹介されている
読み手に依存するという話ですが、
マニュアルを作る際には「ペルソナを意識しなさい」とよく言われます。
厳密に考えるとなると少し難しいのですが、
比較的単純なところでは、
読み手が初心者なのか熟練者なのか、というのが構成に大きく影響します。
初心者は、製品の基本的な使いかたや、どんな風にうまく利用できるのかを、
順を追って説明されているほうが読みやすいと感じます。
(チュートリアル型と言います)
ところが熟練者の場合は、基本的な使いかたはすっかり熟知しているので、
頭から読む必要がありません。
辞書のように、必要な情報だけをすっと引き出せるほうが重要です。
(リファレンス型と言います)
読み手によって、どんな順番で書かれていると読みやすいか、
マニュアルとして使い勝手が良いかは異なります。
一概に「これが良い」とは言えませんが、
おすすめの並べかたがいくつかあります。
・基本的な使いかた→応用的な使いかた
・時系列(使用前に知っておくべきこと→準備→使用→片付け→保管…など)
・ユーザーにとって重要な事柄→コツやヒントなどの細かい事柄
特に初心者向けのマニュアルを作るときに一番やってはいけないのは、
開発資料などの情報を整理し直さず、体裁を整えるだけ…のような作りかたです。
製品を最も熟知している開発者と、
製品を初めて触るようなユーザーの目線は明らかに違います。
「説明はちゃんと書いているのに、読んでもらえない、わかりにくいと言われる」
こんな心当たりはありませんか?
想定される読み手がどんな風に取説を読もうとするかを考えた構成になっていますか?
今一度構成を見直してみると、見えてくるものがあるかもしれませんよ。