動画マニュアルの作り方|作成フローとポイントを解説
投稿日:2023年11月25日
カテゴリー:解説記事
投稿者:
mare
動画マニュアルは、昨今、
受け手に情報をわかりやすく伝える手段の一つとして注目され、
導入する企業も増えています。
そこで本記事では、動画マニュアルの作成を検討されている方のために、
基本的な作成手順や効果的な活用方法について解説し、
動画マニュアルのメリットや
動画マニュアルに欠かせない重要なポイントも併せてご紹介します。
社内教育用の資料としても、ぜひご活用ください。
1.動画マニュアルとは?
そもそも動画マニュアルとは、
製品の使い方やメンテナンス方法、業務の作業手順などの情報を
動画形式で伝えるマニュアルのことを指します。
パソコンやスマートフォン、タブレットのような端末で見ることを前提とし、
インターネットを通じて提供されることが多くなっています。
2.動画マニュアルのメリット
動画マニュアルのメリットは、
より多角的な情報伝達が同時にできることです。
文字情報やイラスト・写真だけではわかりにくい、複雑な形状や細かな動きなどを
動きのある映像、音、ナレーションなどを使ってわかりやすく伝えることができます。
また、ほかにも動画には次のようなメリットがあります。(紙媒体との比較)
短時間で、多くの情報を効率的に伝えられる。 | ||
音の情報を伝えられる。 (文字情報では伝えにくい、微妙な音の違いなど) | ||
直感的に伝わりやすい。 | ||
映像や音の情報は、記憶に残りやすい。 | ||
大勢の人に簡単に共有できる。 | ||
時間や場所を選ばず、必要なときにすぐ視聴できる。 | ||
紙のマニュアルのページ削減などにより、印刷コストを削減できる。 (製品の出荷台数が多い場合、特に有効です) | ||
よりわかりやすい説明媒体での提供により、 メーカーへの信頼度やブランドイメージの向上につながる。 |
3.動画マニュアル作成の手順と方法
ここでは、作成手順の一例をもとにご説明します。
1.企画
まずは、どのような動画マニュアルを作るのかを検討します。
このとき、特に重要なのは、次のことを明確にしておくことです。
コンセプト:
どのような動画マニュアルにしたいのか
ターゲット:
どのような人が見るのか(年齢、製品についての知識レベル・技術レベルなど)
視聴環境:
どのような端末・アプリケーションを使い、どのような場所で、どのような場合や時間に見ることが多いのか
動画の目的:
見た人に何を伝えたいのか、どのような結果に導きたいのか
2.絵コンテ
次に、企画案の内容をもとに、絵コンテを作成します。
絵コンテとは、
制作にかかわるスタッフ全員が
「これからどんな映像を撮り、どんな動画にするのか」という認識を統一するための資料です。
いうなれば、動画制作における設計図のようなものです。
絵コンテがあることで、
全員が制作の流れや動画全体のイメージを共有したうえで撮影に臨むことができます。
絵コンテのフォーマット
絵コンテの具体的なフォーマット例を見てみましょう。
※ここでは、ナレーションとテロップを使った動画を制作する場合のフォーマット例をご紹介します。
カット:カットの通し番号
カットは、映像の最小単位です。
カメラで録画を始めてから止めるまでを一つのカットと数えます。
カットは、空間・時間・状況の変化が起こるタイミングで分けることが多いです。
「カット」欄には、通し番号を記入します。
カットをいくつかのグループに区分する場合には、
それぞれの区分を「シーン」と呼びます。
その場合、シーンの通し番号とカットの通し番号をここに記入します。
画面:映像のイメージ
撮影したい映像のイメージをラフ絵などで表します。
絵は上手である必要はありません。イメージが伝わればよいのです。
仮撮りした写真など、参考になる画像を貼り付けるのでもかまいません。
内容:映像の説明
何がどのような動きをするのか、カメラをどのように動かすのかなど
映像の内容を簡潔な言葉で説明します。
例:「製品の全体像から作業箇所のクローズアップへ」
ナレーション:ナレーターのセリフ
※ナレーションが多い(長い)場合は、別途、台本を作成してナレーターに渡しましょう。
テロップ:テロップ(字幕)として表示する文字
時間:カットの秒数
※「デュレーション」や「尺」と呼ぶこともあります。
以上は、あくまでも一つの例です。
音楽や効果音などを入れる場合には「音」などの欄を増やす、
ナレーションがない場合には「ナレーション」欄をなくすなど、
制作する動画の構成要素に合わせて変更してください。
3.撮影準備
まず、撮影場所を検討します。
屋内で撮影する場合は、
照明や自然光の具合、背景が別途必要かどうかなどを確認します。
屋外で撮影する場合には、
事前にロケハン(ロケーション・ハンティング)が必要です。
候補地を実際に下見し、撮影に適しているかどうかを確認しましょう。
次に、必要な機材を準備します。
・撮影機材(カメラ、ビデオカメラ、三脚など)
・照明機材(各種照明、レフ板など)
・補助器材(音声用マイク、確認用モニターなど)
撮影で使用する機材や、撮影前に確認しておくべき内容をリスト化して、
搬入漏れや確認漏れを防ぎましょう。
チェック内容の例:
・各機材が正常に動作するか(故障していないか)
・機材の電源を確保できるか、あるいは充電が十分か
・録画、ズーム、録音などの機能は問題なく使えるか
撮影スタッフについても、必要な役割や人数を検討し、早めに手配しておきます。
また、撮影をスムーズに進めるために、
効率的な撮影の順番を検討して「香盤表」と呼ばれるリストを作ることもあります。
動画の中で実際に使われる順番ではなく、
撮影対象や撮影場所などが似たシーンをまとめて撮影すると、効率よく進められます。
4.撮影
いよいよ、撮影に入ります。
撮影では、カメラマンは
絵コンテに沿った画角(画面に映る範囲の広さ)で映像を撮ります。
たとえば作業シーンを撮る場合、
作業者の全身の動きを映すのか、手元だけを映すのかなど、
絵コンテの細やかな指示に従って撮影します。
※ 照明も重要
また、撮影のもう一つの大きな要素として、照明があります。
照明は、画面全体の雰囲気やクオリティー、仕上がりを左右する大事な要素です。
同じ被写体を、同じ場所・同じカメラで同じように撮影したとしても、
照明によって映像の印象はガラリと変わります。
照明を上手に使うことによって、
被写体の細部をはっきり映す、質感を出す、色味を調整する、雰囲気を演出するなど、
様々な効果を生み出せます。
逆に、被写体以外のじゃまな情報(ノイズ)を極力減らすのも、照明の役割です。
たとえば、作業手順を説明する動画の中に作業者や部品の影がちらちらと映り込んでしまうと、
見る人の集中を妨げることになり、見てほしい部分の印象がぼやけてしまいますよね。
どんなに素晴らしい絵コンテを作ったとしても、
ビジュアル面の仕上がりは照明にかかっているとも言えます。
照明の役割は、被写体に光を当てることだけではありません。
「被写体をよりよく映すための空間を作っている」のです。
5.編集・チェック
撮影した映像素材を使って、次のような流れで動画を編集していきます。
① 仮編集(粗編集)
最初から細部を作り込むのではなく、一度大まかに編集します。
動画全体の長さや流れ、
使用素材、文字・テロップなどに問題がないかを確認します。
② レビュー
大まかに編集した動画を関係者全員でレビューします。
③ 本編集
仮編集した動画をもとに、細部を作り込みます。
ここでは、ビジュアルに関する作り込みがメインになります。
④ レビュー・修正
細部まで作り込まれた動画を改めてレビューし、必要に応じて修正します。
⑤ ナレーションの追加
ナレーションが必要な場合は、ここで追加します。
ナレーションの収録は、余計な音が入らないように、収録に適したスタジオで行うのが基本です。
6.動画の書き出し・配信
動画を書き出し、YouTubeなどの配信媒体にアップロードしたり、
DVDやブルーレイディスクなどの記憶媒体に保存したりします。
4.動画マニュアル作成に欠かせない、5つのポイント
効果的な動画マニュアルを作成するには、次の5つのポイントが重要です。
1.ターゲットと目的を明確に
どのような人を対象としたマニュアルなのか、
その人に何を伝え、どのような結果に導きたいのかを
最初に決めておきましょう。
また、視聴シーンや媒体の想定も重要です。
作業者が現場で見るのか、研修のために会議室で見るのかなどの想定によって
同じ物を説明するとしても、動画の仕様は大きく異なります。
2. 簡潔でわかりやすい表現に
ナレーションやテロップには、見る人が迷わず理解できるように、
ストレートに意味が伝わる、簡潔で明瞭な表現を使いましょう。
動画で見せる一連の動作についても同様に、
無駄のない単純な動作に見えるようにしましょう。
3. 視覚的な要素、聴覚的な要素を効果的に活用
作業映像やアニメーション、図解、グラフなどの視覚的な要素や、
動画の説明・解説を行うナレーションや音などの聴覚的な要素を効果的に活用しましょう。
たとえば作業シーンの動画であれば、
メインの動作とは別のアングルからの映像やCGをワイプで見せるのも有効です。
4. 動画の長さに気を配る
短い動画のほうが見やすいと感じられる傾向があるため、
できるだけ短くまとめるようにしましょう。
あまり長すぎると、途中であきて閉じられてしまうこともあります。
一部の工程にフォーカスした作業シーンの動画であれば、
3分前後に収めるようにしましょう。
5.ターゲットユーザーによるレビュー
編集段階でターゲットとなるユーザーに何度か見てもらい、
レビュー結果を反映しましょう。
関係者のレビューだけでは見えてこなかった問題点に気づくということもよくあります。
まとめ
動画マニュアルの作成には、多くのメリットがあります。
紙のマニュアルでは伝わりにくいポイントが、わずか数秒でダイレクトに伝わるなど、
動画ならではのメリットを生かすことで、
ユーザーが安全に正しく製品を使用(サービスを利用)するための情報を効果的に提供できます。
また、効果的な動画マニュアルを作成するには、
ターゲットと目的を明確にし、簡潔でわかりやすい表現を使い、
視覚的・聴覚的な要素を工夫して取り入れ、適切な長さの動画にすることが重要です。
ターゲットユーザーのレビュー結果を反映することができれば、さらによいものになるでしょう。