一文一義とは? 言葉の意味と文章の書き方のコツ【2分でわかる用語解説】
投稿日:2023年05月18日
カテゴリー:ライティング
投稿者:
Oma
取扱説明書や作業手順書の文章を作成する際、
できるだけ詳しく、情報を漏れなく書こうとしたら、
かえってわかりにくい文章になってしまった…
という経験はありませんか?
この記事では、
「一文一義(一文一意)」の意味を解説し、
わかりやすい文を書くのに役立つ、書き方のコツをご紹介します。
ビジネス上あらゆる文章の作成に活用できるテクニックを
ぜひ、チェックしてみてください。
1.一文一義とは?
一文一義(いちぶん-いちぎ)とは、
「一つの文で一つの事柄だけを説明する」
という意味の言葉です。
マニュアルなどの技術文書を書く時にライターが使う、
「テクニカルライティング技術」のひとつで、
「一文一意」とも言います。
なぜ、一文一義で文を書くのかというと、
一つの文がだらだらと長い文だと、それだけで読みにくく、理解しにくくなるからです。
それどころか、ぱっと見でその文章が読み飛ばされてしまうことも。
「技術」と言っても単純な話で、
一つの文に込める事柄(意味や内容)をなるべく整理して絞ることで、
端的で読みやすい文になるわけです。
例えば、
製品マニュアルの文章を読みながら実際に操作してみる、というシーンを想定してみます。
「まずフタを開けて、赤のスイッチを押して、表示を確認したら次は緑のスイッチを押して、フタを閉じる…」
と、一文の中にたくさんの指示が含まれていると、どうでしょうか?
操作内容や順番が頭に入りづらく、わからない部分があれば、
操作しながら何度も同じ文章を読み直さないといけなくなりますよね。
ぱっと読んで内容が頭に入る、読者に伝わりやすい文にするには、
一文のなかに複数の内容を詰め込むのではなく、
情報を整理して内容ごとに文を分けるようにしましょう。
▼参考記事 |
2.一文一義にするコツ
例文を使って、一文一義の文を作る2つのポイントをご紹介します。
①:接続助詞に注意する
接続助詞というと難しく聞こえますが、
名前が示す通り、語と語をつなぐはたらきをもつものです。
「~ば」「~ので」「~が」「~と」などが、これにあたります。
接続助詞を多用すると、むやみに文が長くなってしまいがちです。
日常会話などでは気にならなくても、
下記のように文字に起こすと非常に読みにくい文章になります。
説明文などの文を書くうえでは、
接続助詞をなるべく連続では使わないように気を付けましょう。
文章の改善例: |
私は普段、ペットボトルのお茶を飲むのですが、お茶を毎日買っているとお金がかかってしまうので、できるだけ家でいれたお茶を飲む習慣をつけたいです。 ▼ 私は普段、ペットボトルのお茶を飲みます。 |
②:手順ごとに文を区切る
上記で述べたように、
説明文の中にたくさんの手順が含まれすぎていると、
一度読んだだけでは頭に入りづらく、何度も文章を読み返さなければならなくなります。
そこで、1つの行動や操作の説明ごとに文を分ける、というのが2つ目のポイントです。
より明確に手順を示したい場合は、文頭に番号を付けると良いでしょう。
具体的なメリットとしては、
いくつもの手順を踏まなければならない操作であっても、
①,②,③と番号が振られていると、
一度目を離しても、「さっき②まで読んだから…」と、続きに戻りやすくなります。
文章の改善例: |
用紙トレイを開けてコピー用紙をセットしておき、印刷したい文書データを開いて[印刷]ボタンを押す ▼ ① 用紙トレイを開ける |
▼参考記事 |
3.一文一義の活用方法
物事をわかりやすく説明するのは、
ドキュメント作成の上で基本中の基本と言えます。
これはビジネス上あらゆる実用文に活用できる原則です。
例えば、プレゼンテーション用の資料でも、
1枚のスライドにあれこれ文章を詰め込んで書くな、とはよく言われることです。
たとえ枚数が多くなったとしても、
スライド1枚1枚に書く内容を、必要な情報に絞り込んでシンプルな内容にした方が、
より相手に伝わりやすくなるためです。
そもそも、興味・関心が薄い読み手というのは、長々とした文章を読んでくれません。
それどころか長すぎる文章を嫌う傾向すらあります。
下記の営業資料を例に挙げてみましょう。
【Aの営業資料】 |
【Bの営業資料】 |
自社のサービスや良いところをアピールしようと、
たくさんセールスポイントやサービスの紹介を書き連ねているAの営業資料と、
簡潔な文章でサービスの要点だけを書いたBの営業資料。
どちらが最後まで読んでもらいやすいか、一目瞭然ではないでしょうか?
一文が長くなればなるほど、文に含まれる情報量が多くなります。
しかし、情報量が多すぎると、
読み手に本当に伝えたい言葉が伝わりにくくなってしまいます。
マニュアルの作成に限らず、普段の仕事でも、
一文一義を意識した文を書くことで、読み手に伝わりやすくなる文章になるメリットがあります。
▼参考記事 |
まとめ
一文一義(一文一意)とは、
「一つの文で一つの事柄だけを説明する」ことを指す、
「ライティング技術」のひとつです。
文章を書くときに押さえておきたいポイントは次の2つです。
・一つの文に接続助詞を使いすぎない
・手順ごとに文を区切って書く
一文一義を意識することで、
複雑な手順であっても、端的でわかりやすい文を書くことができます。
一文一義の考え方は、マニュアル作成だけでなく、
普段のメールや業務連絡といった文章を書く仕事においても、
自分が伝えたいことを伝えるのに役立つのは、大きなメリットであると言えるでしょう。
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