マニュアル担当者必見!?「カラーユニバーサルデザイン」とは?
投稿日:2023年04月25日
カテゴリー:デザイン・レイアウト
投稿者:
Ar
先日、小学生向けの教科書を制作している方とお話しする機会がありました。
内容ひとつで子どもの一生を左右するかもしれない、という大きな責任感を持ちながら、
決して潤沢ではない予算の中で必死に工夫されているとのことでした。
その中で「カラーユニバーサルデザイン」という言葉を聞きました。
色覚異常※の子どもでも色が見分けられるように配色を工夫するというもので、専門機関での認証も受けているそうです。
今回は、カラーのマニュアルを作成する際にも参考になる
「カラーユニバーサルデザイン」という考え方をご紹介いたします。
※「色覚異常」は医学用語です。本コラムでは色覚の多様性に配慮した用語を使用しています。
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カラーユニバーサルデザインとは?
「カラーユニバーサルデザイン」という言葉は、
色を表す「カラー」と「ユニバーサルデザイン」を合わせたものです。
東京都が2011年3月に発行したガイドライン
「東京都カラーユニバーサルデザインガイドライン」に分かりやすく説明されていました。
カラーユニバーサルデザインとは、 (「東京都カラーユニバーサルデザインガイドライン」より) |
つまり、色の分野においても、誰もが利用可能なデザインである
「ユニバーサルデザイン」という考え方を取り入れていくということです。
色覚は老化や目の疾患によって変わることもあるので、
誰もが関わる問題であるとも言えます。
マニュアル制作において、
あらゆる人に正確に伝わるようにするには、色覚に対する配慮も必要です。
カラーユニバーサルデザインで推奨されている色づかい
前提として色覚には多様性があるので、その多様性を理解することが重要です。
「色弱」と言われる場合でも、人によって見え方は異なります。
視細胞のうち赤を感じる部分に変異がある方を「P型色覚者」、
緑を感じる部分に変異がある方を「D型色覚者」と言います。
両者ともに「赤と緑」の判別が苦手とされています。
下記は「一般色覚者」と「P型色覚者」「D型色覚者」の色の見え方を表したものです。
区別しにくい色としてあげられる「青と紫」、「緑と茶色」、「赤と緑」、「水色とピンク」について、NPO法人「カラーユニバーサルデザイン機構」のホームページを参考に作成いたしました。
色の見え方(イメージ)
あらゆる人が色をきちんと見分けられるようにするためには、
色の使い方を工夫する必要があります。
NPO法人「カラーユニバーサルデザイン機構」では、
「カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット」を使用することを提案しています。
すべてを紹介することはできませんので、
ここでは一例のみご紹介いたします。
下の例のような色の組み合わせであれば、
あらゆる人がきちんと色を判別することができます。
【例:画面上で6色を使用する場合】
カラーユニバーサルデザインの導入例
ここまでカラーユニバーサルデザインについて、
簡単にご紹介いたしました。
カラーユニバーサルデザインは、
緊急性、公共性の高いものから導入されており、
最近では私たちの身近なところでも採用されています。
そのような例もいくつかご紹介します。
① 防災気象情報の警戒レベル
大雨や台風などの災害時に
気象庁が発表する防災気象情報の警戒レベルの色分けには、
カラーユニバーサルデザインが採用されています。
区別しやすい配色であるだけでなく、危険性の高いレベルには濃い色を使用することで、
すべての人が警戒レベルを判別できるように配慮されています。
② JIS図記号の改正
JIS Z 9103(図記号-安全色及び安全標識-安全色の色度座標の範囲及び測定方法)の改正が2018年4月に行われ、カラーユニバーサルデザインに配慮した図記号に変更されました。
最後に
今回はカラーユニバーサルデザインについてご紹介いたしました。
本記事を書くにあたって、普段何気なく目にしているものでも、
こうした工夫が凝らされていることがある、ということに改めて気づかされました。
読む人がきちんと内容を理解できるマニュアルを作成するには、
テキストだけではなく、配色などのデザイン一つひとつにも気を配る必要がある、
ということがお分かりいただけたかと思います。
カラーのマニュアルを作成する際には、意図をもって色選びをしたいものです。