暗黙知の共有には社内マニュアルが最適!作成方法とポイントを徹底解説
投稿日:2024年08月26日
カテゴリー:業務マニュアル
投稿者:
mare
マニュアルがなく社内で蓄積されたノウハウやコツが社員間で共有されていない、いわゆる暗黙知の状態を放置していると、なんらかのトラブルによって業務の遂行がままならなくなったり、業務効率化の機会損失につながったりしてしまいます。この記事では、暗黙知を形式知に変える社内マニュアルの作成方法について解説します。 |
いつも頼りにしていたベテラン社員の退職や異動で、
業務効率や品質が大きく低下した、
顧客クレームが増加した、
予期せぬトラブルが起きてしまった、そんな経験はありませんか?
また、人手不足の中、せっかく入社してくれた新入社員へのノウハウ伝達がうまくいかず、新入社員のモチベーションが下がってしまったり、なかなか業務を任せられないといったことはありませんか?
こういった問題の根本的な原因は、
社内の「暗黙知が共有されていない」ことかもしれません。
暗黙知の共有は、企業の競争力を維持し、業務効率を向上させるために不可欠です。
しかし、暗黙知を共有するには一体何をすればよいのでしょうか?
暗黙知を形式知にするための一つの手段、それが社内マニュアルの作成です。
この記事では、主に次の内容をご紹介します。 ・暗黙知とは何か |
1. 暗黙知とは?
暗黙知とは、
個人の経験・直感・感覚に基づいた知識やスキルのうち、
明確に言語化されていないナレッジを指します。
熟練した職人が長年の経験をもとにした勘どころや、
色彩感覚・バランス感覚などのデザインセンス、
顧客との信頼関係を築くための営業ノウハウなどが、暗黙知になりがちです。
2. 暗黙知を共有できないとき、何が起こるか
今、あらゆる企業において、社員それぞれの中で様々な暗黙知が培われ、共有されないままになっています。
しかし、その暗黙知がこのまま共有されないでいると、様々なデメリットにさらされることになります。
業務の属人化
特定の社員にしかない知識やスキルが必要な業務があると、その社員が不在の場合に業務が滞ります。
知識・ノウハウの喪失
ベテラン社員の退職・異動により、その人が持っている重要な知識やノウハウが失われます。
業務効率の低下
知識やノウハウが共有されないため、複数の社員が同じ問題に対して何度も試行錯誤することになり、業務効率が低下します。
品質の低下・ばらつき
作業方法が統一されないことによって、製品の品質が低下したりばらついたりします。その結果、顧客クレームの増加や顧客満足度の低下にもつながります。
不十分なリスク管理
一部の社員しか知らないリスクや対策が共有されず、予期せぬトラブルが発生した場合に、適切な対策を迅速に行えなくなります。
社員教育の不足
社員が新しい知識やスキルを習得するための機会が少なくなったり、習得に時間がかかったりします。これは、企業にとっての損失のみならず、社員のモチベーション低下にもつながります。
変革の遅延
異なる視点やアイディアの融合による新しい発想が生まれにくくなるため、変革のスピードが遅くなります。
このように、暗黙知の共有は企業が必ず取り組むべき課題です。
暗黙知を共有することで企業全体の知識レベルが向上し、暗黙知を形式知(言葉や図、数式などで表現できる客観的な知識)に変換できれば、企業全体の知識資産として活用することも可能になります。
3. 暗黙知を形式知に変えるには
それでは、どうすれば暗黙知を形式知に変換できるのでしょうか?
その答えの一つが、社内マニュアルです。
社内マニュアルは、暗黙知を形式知に変換し、全社員が共有できるようにするための最適なツールです。
社内マニュアルを作成すれば、標準化された作業手順やベストプラクティスが提供され、すべての社員が決められた方法で業務を遂行できるようになります。社員間の知識のばらつきが減り、企業全体のパフォーマンスも向上します。
また、作成したマニュアルは教育やトレーニングにも活用でき、新入社員や異動者の早期戦力化にも役立ちます。
4. 社内マニュアルの作成方法
ここからは、社内マニュアルの作成方法をステップごとにご紹介します。
ステップ1:情報を収集する
まずは、社内マニュアルに掲載する情報を収集します。
社員へのインタビューやアンケート、現場の取材などによってできるだけ直接情報を引き出し、作業手順や具体的な事例・ノウハウを集めます。
現場取材は何度もできるものではないため、動画を撮影しておくのも有効です。
また、現場で実際の作業手順を確認しながら取材をしたり、作業現場を動画に撮影しておいてじっくり分析したり、後で動画を確認しながら取材をすることで、作業者自身も気づいていない暗黙知に気づくこともあるかもしれません。
取材中に、作業方法が人によって異なることに気づく場合もあります。
そのような場合には、条件によって作業方法が異なるのか、複数の方法があって個々人がやりやすい方法で行っているのか、などを確認してみましょう。
マニュアルを作り始める前に、どの方法を掲載するのか、または条件を明記したうえで複数の方法を掲載するのか、などの方針を決める必要があります。
ステップ2:マニュアルの仕様・構成を決める
はじめに、収集した情報をどのような単位でマニュアルにするのかを決めます。
1冊のマニュアルにまとめるのか、対象者や使用シーンごとに分冊にするのかを、対象者の意見もしっかり聞き取ったうえで決めましょう。
次に、マニュアルの仕様を決めます。
ページサイズや色(モノクロ、2色、フルカラーなど)などです。
ページサイズはA4サイズが基本ですが、作業場所の状況によっては小さくしたり、詳細な図面など大きく見せる必要があるような場合には大きくするなど、最適なサイズを選んでください。
それから、マニュアルの構成を決めます。
たとえば一連の作業についてのマニュアルであれば、
①基本的な注意事項や作業の概要・流れ
②作業手順
③困ったときに参照する情報
といった構成が考えられます。
最後に、マニュアルの作成環境を決めます。
・作成に使用するアプリケーションの種類・バージョン(Word、Adobe InDesign、Adobe Illustratorなど)
・作成に使用するフォント(Windows標準フォント、有料フォントなどから選択)
いずれも、編集作業をする可能性のある人が全員持っているものから選ぶか、必要に応じて購入するなどの対応が必要です。
ステップ3:マニュアルを作成する
いよいよマニュアルの作成に取りかかりますが、その際、次のようなことに注意しましょう。
見出し
見出しを見るだけで書かれている内容が想像できるような、端的な表現にします。
目次に載るような上位階層の見出しは、特に重要です。すぐに目的の項目が探せるような、明快な見出しにしてください。
文章
できるだけ平易な用語や表現を使い、簡潔な文章にします。
対象者が知らない可能性のある専門用語などを使う場合には、説明をつけたり、巻末に用語集を設けるなどして、工夫しましょう。
手順
「1.〇〇を〇〇する」のように、通常の文章以上に端的な表現を心がけましょう。
▼参考記事 |
イラスト・写真・画面画像
イラストや写真などを使う場合は、伝えたいポイントがわかるような工夫が必要です。
ポイントとなる部分に、イラストであれば色をつけたり、写真や画面画像であれば目立つ色の囲みを入れたり、拡大図を利用するなどして、ポイントを目立たせます。
イラストや写真のアングルによっても伝わり方はまったく違うので、最適なアングルを見つけることも大切です。
また、写真や画面画像を使う場合は、印刷したときに粗く見えないような解像度に調整しましょう。
デザイン
社内マニュアルにおけるデザインでは、見た目の美しさではなく、各構成要素を明確に区別することができるかどうかが重要です。
ひと目で上位階層の見出しと下位階層の見出しが区別でき、どちらが上位であるかも瞬時に判別できること、同様に、本文・補足文・手順・安全上の注意事項・場合分けを表す小見出しなどの各要素が瞬時に判別できることが必須条件です。
文字サイズやフォント、行頭文字、文字色、空白の使い方など様々な工夫をして、直感的に判別できるようなデザインにしましょう。
レイアウト
読んでほしい順番に並べる、似た項目は近くに並べる、同じ項目内の要素は開始位置をそろえる、など、レイアウトによって各要素の位置づけがわかるようにしてください。
そのためには、適度な余白も必要です。余白にも意味があることを意識して、各要素を配置しましょう。
▼参考記事 |
ステップ4:社内レビューを行い、修正する
実際に作業をする担当者や関係部署に、社内レビューを依頼します。
誰にでもわかりやすい内容になっているか確認するために、関連部署以外の第三者にレビューを依頼するのも有効です。
このステップは、マニュアルの品質を高め、実際に運用し続けられるマニュアルにするためには、非常に重要です。
マニュアルとしてまとまったものを客観的にチェックすることで、取材時には気づかなかった問題点や改善点に気づくこともよくあります。
また、実際の作業者からのフィードバックを取り入れて内容を改善することで、より実用的で信頼性の高いマニュアルになります。
ステップ5: 定期的に更新する
完成したマニュアルには、定期的な見直しと更新が必要です。
技術の進歩や設備の入れ替え、製品に合わせた作業方法の変更、法令や規格の変更などにより、作業手順には随時変更が入ります。そのような状況では、古い情報をもとに作成されたマニュアルは、実運用に耐えず、使われなくなってしまいます。
また、更新までの期間があきすぎると、見直しに時間がかかり、反映すべき最新情報の把握も難しくなってしまいます。
常に最新情報を反映し、いつでも現場で役立ててもらえる状態にしておくことが重要です。
5. まとめ
ベテラン社員の退職・異動による業務効率の低下や顧客クレームの増加、新入社員へのノウハウ伝達の難しさなど、企業が直面する問題の根本原因は「暗黙知の共有不足」にあります。
暗黙知とは、個人の経験や直感に基づく知識で、言葉では表現しにくいものです。これを共有するためには、社内マニュアルの作成が有効です。
マニュアルは、暗黙知を形式知に変換し、全社員が共有できるようにするツールです。情報収集、仕様・構成の決定、作成、社内レビュー、定期的な更新のステップを踏むことで、実用的で信頼性の高いマニュアルが完成します。
とはいっても、日常業務をこなしながら、各部署に取材をしてマニュアル1冊を作り上げるのは至難のわざ。
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