「業務マニュアル」で業務を標準化・効率化。仕事は仕組みで回す!
投稿日:2021年06月10日
カテゴリー:業務マニュアル
投稿者:
mare
コロナ禍や人手不足、働き方改革の取り組みがきっかけとなり、業務の見直しや標準化を進める企業が増えています。
今回の記事では、業務マニュアルを使って業務を見直し、業務を標準化・効率化する方法について紹介します。
・デメリットだらけの「属人化」
・業務マニュアルで属人化を防止
・業務マニュアル作成のポイント
・なぜ、業務の標準化が必要なのか
・業務マニュアル作成・業務標準化による効果
・業務マニュアル作成・業務標準化のステップ
・困ったときは、専門家に相談
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デメリットだらけの「属人化」
あなたの職場では、担当者の休暇中にお客様から問い合わせがあった場合、だれかが代わりに対応できますか?簡単な伝言はできても、実際の対応まではできないという方も多いのではないでしょうか。
このように、特定の業務を特定の人しか担当できない状態を業務の「属人化」と呼びます。
属人化には、次のようなデメリットがあります。
業務量の増加や特定担当者の不在時に対応できない
(リードタイムの増加、業務効率・品質の低下)
顧客数や受注件数が増えた場合に、属人化した業務がボトルネックとなり、案件全体のスピードが落ちることがあります。一定の期間内にこなせる案件数が限られてしまうため、機会損失にもつながります。
また、担当者が不在で業務を代行した場合、効率のよい作業方法がわからずに工数が大幅に増えたり、納品物の品質が普段よりも悪くなって信用を失ったり、クレーム対応に追われたりということもあり得ます。
最悪の場合には、担当者が不在の間は業務停止、担当者が退社した場合には業務終了という事態にもなりかねません。
品質や進捗が管理できない
特定の人だけで業務を行っているため、品質についての適切なチェックが行われず、進捗についてもその人任せになりがちです。トラブルが発生して初めて、実情がわかるというのでは遅すぎます。そのうえ、トラブルの対応もその人にしかできないため、迅速で適切な対応は難しくなります。
また、ミスをしたときには迅速に情報を共有し、原因分析と再発防止を図るのがセオリーですが、属人化している業務では、ミスの隠ぺいが起きやすく、大きなトラブルになるまで発見されない場合も多々あるのです。
多様な働き方に柔軟に対応できない
コロナ禍で特に注目されている、テレワーク、リモートワーク、出産・子育て中や介護中などの時短勤務も、属人化した業務を抱えていては、なかなか利用できません。
育児休暇や病気休暇などの長期休暇を取得しようとしたり、取得後に復帰しようとしたりする場合にも、スムーズに引き継ぎができず、時間もかかってしまいます。
業務マニュアルで属人化を防止
これだけのデメリットがある「属人化」を防ぐ対策としては、業務マニュアルの作成がおすすめです。
業務マニュアルを作成するということは、業務の目的、各人の役割、作業手順、使用ツール、進め方など業務に関わるすべての情報を洗い出し、見える化するということです。また、人によって異なっていた作業手順を統一することも重要な目的です。
業務マニュアルがあれば、担当者の不在時に業務を代行したり、繁忙期に担当者以外に作業を割り振ることもできます。特定の「人」ではなく、「仕組み」で仕事が回せるようになるのです。
ただし、属人化された業務が「0」になることは、おそらくありません。専門的な知識やスキルが必要な業務が、ある程度属人化してしまうのはしかたがないことだからです。
それでも、できる限り属人化を削減することには意味があります。丸ごと属人化してしまっている業務においても、部分的には切り分けられる作業が埋もれていることも多いのです。この業務は無理だ!と決めつけずに、属人化せざるを得ない業務とそれ以外の業務を整理するところから始めてみませんか。
業務マニュアル作成のポイント
ここまでで、業務の属人化を防ぐためには業務マニュアルを作成すればいい、ということがわかりました。では、どのような業務マニュアルを作成すればよいのでしょうか。
見やすく、わかりやすい
読めばだれでも共通の認識を持つことができ、同じように対応できることが必要です。そのためには、可能な限り平易な言葉や表記を使い、その業務を初めて経験する人にでもわかるように内容をかみ砕いて説明する必要があります。
ただし、長文ばかりがずっと続くようなマニュアルでは、読み込むのが大変です。簡単なイラストや写真などのビジュアルと、できるだけ簡潔な文章を組み合わせて、「見てわかる」マニュアルを目指しましょう。
正確
誤りがあったり情報が古いまま放置していると、使われなくなっていく可能性があります。誤りを見つけた場合や法令の改正等により情報が古くなった場合には、迅速に対応しましょう。
詳細で網羅的
担当者にはわかりきったことだからと手順を省略してしまうと、結局、ほかの人には対応できなかったり、手順を飛ばしてミスにつながったり、ということになります。まれなケースへの例外対応であっても、思いつく限りすべてのケースについて記載しておきましょう。これまでにない新たなケースにどう対応するか検討する際のヒントにもなります。
今後起こりうる問題にも対応できる
上記と同様の理由で、今後想定できるケースへの対応についても記載しておきましょう。
改訂がしやすい
常に正確で最新の状態を保つために、また、作業者を選ばないように、改訂しやすいアプリケーションやフォーマットを使いましょう。
なぜ、業務の標準化が必要なのか
それでは、上記のような業務マニュアルさえあれば、すべての問題が解決するのでしょうか?
実は、そうではありません。なぜなら、業務マニュアルを作成することによって、今まで見えていなかった問題点に気づくことが多いからです。
ここで出てくるのが「標準化」という考え方です。
これまで述べてきたように、業務マニュアルを作成することによって、その業務で行うすべての作業に関する情報が洗い出され、見える化されます。また、各人による作業方法の違いも一つに統一されます。
この次の段階が、業務の「標準化」です。
ここでいう「標準化」とは、業務マニュアルで見える化した作業手順の問題点や課題を発見することによって、仕組みを改善し、業務を効率化したり不良を削減したりすることです。つまり、一度業務マニュアルをまとめ上げたらそれで終わりではなく、そこを出発点として継続的に改善し続けること、それが「標準化」です。
業務マニュアルは、業務を標準化するためのツールでもあるのです。
業務マニュアル作成・業務標準化による効果
ここで、業務マニュアルを作成し、業務を標準化した場合の効果について簡単にまとめます。
・品質の維持・向上
・業務効率化による、工数・残業時間・コストの削減
・新人・新任者教育の質・量の向上、早期戦力化、対応時間の削減
・事業の安定性・発展性の向上
・ノウハウの社内蓄積
・各人の意識改革(常に課題や改善点を探し続ける)
・多様な働き方への対応
業務マニュアル作成・業務標準化のステップ
それでは、業務マニュアルを作成し、業務の標準化を実現するためのステップを見ていきましょう。
1.対象とする業務・範囲の選定
どの業務を対象とするのか、また、対象とする業務のどの範囲を対象とするのかを決めます。この際、専門的な知識やスキルが必要な業務は除外します。ただし、該当する知識・スキルを持つ人材が複数いる場合には、除外する必要はありません。
2.情報の洗い出し・整理
対象業務の作業手順、作業環境、使用ツール、注意事項など、業務に関連するすべての情報を洗い出します。この際、人によって作業方法などが異なる場合は、どちらかに統一します。なお、条件によって作業方法を分けることが妥当な場合には、条件を明確にしたうえで併記します。
3.業務マニュアルの作成(たたき台)
洗い出した情報を整理・区分しながら、業務マニュアルにまとめます。
4.運用・業務マニュアルの修正
実際の業務でテスト運用し、実情と合わない部分があれば、必要に応じて業務マニュアルを修正します。ここまでで、現状の作業手順をまとめた業務マニュアルがいったん完成します。
5.改善【=標準化】・ 業務マニュアルの改訂
業務マニュアルをまとめる過程で気づいた問題や改善点をもとに、作業手順を見直し、業務マニュアルに反映します。その後も定期的に作業手順の見直しをし、改善・更新を継続します。
困ったときは、専門家に相談
ここまで見てきて、ゴールまでの道のりの長さに驚いた方もおられるのではないでしょうか。通常業務と並行してどうやって進めようかと、頭を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。また、読むだけでだれもが共通認識を持てるような業務マニュアルを作成するには、ある程度の専門性も必要になります。
そういったお悩みがある場合には、いつでも弊社にご相談ください。マニュアル制作を専門とする会社ならではのノウハウを持つスタッフがお手伝いします。