用語集の作り方|作成に役立つテンプレート付き
投稿日:2025年03月25日
カテゴリー:用語
投稿者:
mare
海外向けのマニュアル制作を担当されている方にはおなじみの「用語集」も、
日本語マニュアルの制作現場では、あまり作成されていないようです。
しかしながら、実は、日本語マニュアルを制作する際にも、
用語の管理・統一という側面から非常に重要な役割を果たします。
本記事では、日本語マニュアルにおいて
用語集を作成するメリットと、用語集の作り方についてご紹介します。
なお、用語や説明を入力するだけで利用可能な、
簡単に用語集を作成できるテンプレートもダウンロードできますので、
ぜひご活用ください。
用語集とは
一口に「用語集」と言っても、一般的にイメージされる用語集と、
マニュアル制作の現場における用語集とでは、用途や役割が大きく異なります。
まずは「用語集」とは何か、概要を整理していきましょう。
一般的には、ある分野において使用する用語を集めたものです。
用語とその定義が一覧になったもの、
つまり「知らない用語について情報を得るためのもの」をイメージされるかと思います。
また、海外向けマニュアルの制作担当者であれば、
翻訳時に使用する対訳の用語集を思い浮かべるかもしれません。
この用語集は、「翻訳時の訳語のバラツキを防ぐためのもの」ですね。
では、「日本語マニュアル用の用語集」の役割は何でしょうか?
日本語マニュアルの作成において必要とされる用語集とは、
マニュアル内で統一して使用する用語と、その用語についての補足情報(使用条件、類似語との使い分けの情報など)をまとめた辞書のようなものです。
分厚いマニュアルの末尾などに付属している「索引」とは違い、
日本語マニュアル用の用語集は、マニュアルを制作・管理するときに使用されます。
用語集を作成するメリット
日本語マニュアルの制作時に用語集を作成するメリットは、
なんといっても「用語を統一できる」ことです。
用語が統一されていないと、直感的にわかりにくくなったり、
同じものでも別々のものを指しているのだと誤解され、
思わぬ誤使用につながる可能性もあります。
また、1冊のマニュアルの中でいろいろな用語が混在していることにより、
適切に管理されていないマニュアルであるとみなされ、メーカーの信頼性や評判、
ブランドイメージにも悪い影響を与えてしまう場合があります。
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用語が不統一になりやすいのは?
自分は長年同じ製品のマニュアルを制作しているから大丈夫、
用語についての知識が豊富だから大丈夫、
用語には十分注意しながら作成しているから大丈夫、
などと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、次のような場合には、どんな方が作成したマニュアルでも、
用語が不統一になってしまう危険性が潜んでいます。
ページ数の多いマニュアルを作成する場合
マニュアル全体のページ数が多い場合、必然的に、
長期間にわたって少しずつ文章を作成することになります。
そうすると、どうしても用語を完全に統一して使うことが難しくなってしまいます。
専門的な用語であれば、特別に注意することで
不統一を防ぐことも不可能ではないかもしれません。
しかし、一般的な用語についてはどうでしょうか?
「調節」と「調整」、「作成」と「制作」、「取り付ける」と「取りつける」などのような、場合によってはどちらを使っても誤りではない用語は、無意識に使っていることが多く、特に不統一になりがちです。
複数人で分担して作成する場合
ページ数の多いマニュアルを複数人で分担して作成する場合、
意識の共有がされていないと、用語が不統一になる危険性がさらに高まります。
また、ほかの人が作成したマニュアルを改訂する場合なども、同様に要注意です。
人によって、普段使用している用語は思った以上に違うものです。
特に、漢字とひらがなの使い分けのような日本語の表記方法については、
十人十色と言っても大げさではないかもしれません。
実際、弊社のテクニカルライター2人が表記の好みについて話をしてみると、
あまりにも違っていたため、改めて用語集やスタイルガイドの大切さに気づいたということがありました。
漢字の使用については、常用漢字表によって使用の目安が示されています。
マニュアル制作においては、
基本的にはこの常用漢字表内の漢字に限定して使用することが多いのですが、
常用漢字表内の漢字はすべて漢字にするのがよい、というわけでもありません。
品詞などの基準でひらがな表記にする場合もあれば、
書き手やメーカーの方針によって、あえてひらがな表記にすることもあります。
この点については、ルールが一つに決まっていないことが
不統一を生む原因の一つになってはいるのですが、
日本語の表現の豊かさや幅広さ、寛容さを表す部分でもあると思います。
用語集の作り方
用語集の大切さは分かったけれど、何から手を付ければいいの?
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ということで、用語集を一緒に作ってみましょう。
※用語や説明を入力するだけで簡単に用語集を作成できる、
Excelのテンプレートもご用意しました。
無料でダウンロードできるのでご利用ください。
Step1:掲載する項目の種類を決める
まずは、本プロジェクトにおいて、
用語のほかに、どのような項目を掲載するかを決めましょう。
以下の例から、必要な項目を選んでください。
・通し番号
・分類:部品名、画面名、一般語など
・用語
・説明:定義、使用条件、使い分けの条件(類似の用語がある場合)など
・使用禁止用語:同じ意味で使われそうな用語
・更新日
・備考
Step2:表のフォーマットを作成する
選んだ項目に基づいて、Excelなどで表のフォーマットを作成してください。
Step3:表に用語を入力する
表のフォーマットに、登録したい用語を入力してください。
最初からすべての用語を網羅しようとすると、作業工数が膨大になります。
なかなか運用を始められない場合は、まずは次のような用語から登録し、
次回更新時以降に、徐々に登録数を増やしていく方法もおすすめです。
・部品名など、用語として決めやすく、数も限定されるもの
・よく使う用語の中で、不統一になりやすいもの
Step4:関係者に回覧し、修正する
関係者間で合意のとれた正式な用語集にするために、
関係するメンバー全員に回覧して情報を共有します。
回覧時に指摘があれば、必要に応じて編集・修正をしてください。
これで、用語集の初版が完成です。
用語集はメンテナンスが重要!
社内に、昔作成した用語集が使われなくなったまま眠っている…
ということはありませんか?
弊社でも、クライアントに用語集の有無を確認したときに、
「あるにはあるけど、古いからどこまで信用していいかわからない」
「数年前までは使っていたけど、更新してないから古い用語が交じっているはず…」
などといった回答をいただくことがあります。
用語集は、定期的に見直し、常に最新の状態に保つようにアップデートしないと、
誰からも信用されなくなり、機能しなくなっていきます。
機能していない用語集は、膨大な時間を費やして作成したにもかかわらず、
作成にかかったリソースが無駄になってしまうのです。
長期間放置してしまうと、すべての用語を一から見直すことになり、
更新には膨大な工数がかかってしまいます。
定期的に用語の追加や見直しを行うことで、毎回の工数は少なくて済みますよね。
せっかく時間をかけて作成した用語集です。大事に更新していきましょう。
用語集の作成をお手伝いします
ここまで用語集の作り方についてご紹介してきましたが、
作成には結構な時間がかかってしまうもの。
また、どうやって用語を選べばいいのか、不統一はどうすれば発見できるのか、迷う方も多いかと思います。
そんなときは、弊社が用語集作成のお手伝いをさせていただきます。
まずは、こちらまで詳細をお問い合わせください。
また、社内で作成しているマニュアルが統一されているか気になる方には、
マニュアル制作のプロが多面的な角度から既存のマニュアルを診断する
『マニュアル健康診断』がおすすめです。
さらに、マニュアル内の不統一な用語を自動的にマーキングする、
チェックツールなどの導入支援にも対応しておりますので、
お気軽にお問い合わせください。