誤訳を防ぐスタイルガイド
投稿日:2018年04月02日
カテゴリー:翻訳・海外言語
投稿者:
マッサン
学生の頃、駅から大学への道すがら、たばこ屋でみかけた張り紙に、こんな文句が書かれていました。
「ないものはない」
よっぽど、無理な注文や問い合わせがあるのでしょうか。ずいぶん、居直った店主だな、と思っていました。ところが、あるとき、逆の意味であることに気づきました。店主は居直っているのではなく、豪語しているのでした。
このような多義的な表現は、誤訳の温床です。多言語マニュアルの場合、原文(ソース言語)は英語です。英語表現にも誤訳の温床になる表現が無数にあります。たとえば、これ。
She must be quiet.
Google翻訳で日本語にしてもらいましょう。(※2018年3月の情報です)
「彼女は静かでなければならない。」
では、Infoseek翻訳ではどうでしょうか?(※2018年3月の情報です)
「彼女は静かにちがいありません。」
どっちも正解です。では、これはどうでしょう。
Improving process is needed.
Google「プロセスの改善が必要です。」(※2018年3月の情報です)
Infoseek「改善プロセスが必要です。」(※2018年3月の情報です)
日本の産業翻訳の世界では、ネイティブ信仰と揶揄されるくらい、英語ネイティブの翻訳者への英訳依頼にこだわる傾向があります。ネイティブに依頼さえすれば、上記のような誤訳の温床となるような表現は防げるでしょうか。
答えは否。
このような誤訳の温床となるような表現を防ぐため、simplified Englishあるいはcontrolled Englishというものが盛んに研究されています。このような内容をとりこんだスタイルガイドも出版されています。これは、AP Stylebookのようなライティングのお作法ではなく、誤訳を防ぐための英文ライティングのルールです。
多言語マニュアルの製作には、誤訳を防ぐためのスタイルガイドが不可欠です。マニュアル制作のトリセツでは、多言語マニュアルの制作請負の他、制作支援(内製支援・自社制作支援)のための各種コンサルティング(用語集作成、スタイルガイド作成など)も行っています。お気軽にお問い合わせください。