この記号はNG?英語のマニュアル作成で気を付けたい3つのポイント
投稿日:2018年07月31日
カテゴリー:翻訳・海外言語
投稿者:
マッサン
日本語版のマニュアルを英語に翻訳する際、
文章の意図や文法が正しく訳されているかが重要です。
しかし、言語によって記号(約物)の意味が、
大きく異なる場合があるのをご存じでしょうか?
文中で使われている記号がその言語に適していないと、
誤解や誤操作などのトラブルを招いてしまうことがあります。
ここでは、日英翻訳時に気を付けたい3つのポイントについて解説します。
1. 英文の「〇」は不正解
日本語では視覚的に正誤を表す記号として、「〇」と「✕」があります。
テストの答案用紙などで日本人には馴染み深い記号ですね。
こと、マニュアルにおいてもイラストを効果的に見せたいときに多く使われています。
しかし、この「〇」と「✕」
英語では反対の意味に捉えられてしまいます。
つまり、英語では「〇」は間違っていることを表し、
「✕」(正確にはチェックマーク)は正しいことを表しています。
テレビゲームに詳しい方ならご存じかもしれませんが、
某ゲーム機のコントローラーは長年、
〇ボタンが決定、✕ボタンはキャンセルという扱いでした。
しかし、ゲーム機市場がグローバル化したことなどの理由から、
✕ボタンが決定、〇ボタンはキャンセルに変更されました。
(本当に余談ですが、このボタンの割り当ては本体設定から変更が可能です)
というのも、〇を正という意味で表記するのは、世界中で日本くらいなのです。
ちなみに、半分正解を示す「△」も海外では通じません。
日本語版マニュアルの正誤表などで「〇」が使われている場合は、
必ず、チェックマークに差し替えておきましょう。
2. 重要な情報はカッコつけない
大事な情報を()=丸括弧の中に入れたまま英語に翻訳していませんか?
漢字は、表語文字です。文字自体に意味があります。
そのため、日本語は「読む」のではなく、「見る」という感覚に近いかもしれません。
これに対し、アルファベットは、表音文字です。文字自体には意味がありません。
そのため、英語は、見るだけでは意味が分かりませんので、読まないといけません。
できるだけ早く読みたい人は、余計な情報は読み飛ばします。
英文では()の中に入っている情報は、
読み飛ばしても文章の要点を理解する上で支障がないもの
という補足の意図で使われています。
()に入れた方が目立つから、と思って安易に使用しないようにしましょう。
また、日本語で()を表記する際は、全角の丸括弧が主に使われていますが、
翻訳文では必ず、半角で表記するようにしましょう。
とはいえ、大量の翻訳文を見ていると、丸括弧が全角なのか半角なのか、
わからなくなってしまうかもしれません。
そんな時は、校正支援ツールなどを使って、機械的にチェックするといいでしょう。
3. 引用符は強調記号に使わない
“Safety” is the most important thing.
(「安全」が第一です。)
こういう英語を使っていませんか?
日本語では、文中の用語を強調するために「」(=かぎ括弧)が使用されることがあります。
英語に翻訳するなら “”(=クォテーションマーク)かな、
と安易に使用してしまうのは大間違いです。
というのも、クォテーションマークで囲むものは、
人やモノからの引用を指し、強調の意味はありません。
クォーテーションマークには、
・いわゆる○○
・よく言われる○○
という意味が含まれていますので、
安易にクォーテーションマークを使ってしまうと、
真剣みがない、表面的、とか、真意が別のところにある、などに誤解されかねません。
英文で強調したい文字はイタリック(斜体)で表記しましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
このように日本語では当たり前のように使われている記号であっても、
文化の違う言語に置き換えると、
異なる意味で捉えられてしまうケースが多くあります。
今回紹介した内容以外にも、
ピリオドやカンマ、コロン、感嘆符のうしろにスペースを打ったり、
ハイフンとダッシュの使い分けをしたりといった、
英語には英語の書き方のルールが細かく設定されています。
翻訳文のチェックにはそういった認識の違いを把握することが重要です。
とはいえ、
ボリュームがあるマニュアルをルールに照らし合わせて
全ページ校正するとなると、膨大な時間や労力を割いてしまうこととなり、
結果的に人件費の上乗せという形でコストが上がってしまいます。
そこで弊社では、校正支援ツールに各言語のルールを辞書登録し、
機械的にチェックすることで、人的コストの大幅な削減を行なっています。
高品質な多言語マニュアルを作成してほしいとお考えであれば、
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