ひとめで「わかりやすい」を伝えるには ~マニュアルのデザインを考える~
投稿日:2025年03月10日
カテゴリー:ライティング
投稿者:
1ch
マニュアルは、製品やサービスを使用するうえで必ず読んでもらいたいドキュメントです。
業務マニュアルのような、仕事などでどうしても読まねばならないようなものであれば、
読まれる頻度は低くないかもしれません。
一方で、製品の取扱説明書のように、
「読んでも読まなくてもいい」と思われてしまっているものもあります。
読まれない理由はいくつか考えられます。
・文字が多くて難しそう
・面倒くさい、読む気にならない
・知りたいことが書いていない(書いてあっても見つけられない)
・読まなくても使える
これらに共通しているのは、
マニュアルが「進んで読みたいと思えない状態になっている」ということです。
どこで判断しているかといえば、それは「見た目」に他なりません。
(「取説は読みたくないものである」という固定観念もあるかもしれませんが…)
説明がどれだけ親切でわかりやすいものであっても、
読まれなければ意味がありません。
同じ情報量だとしても、うまく整理されている場合とそうでない場合とで、
読みやすさは大きく変わってきます。
「これなら読めそう」「わかりやすいかも」と思われるようなレイアウトやデザインを意識することで、
マニュアルに対するハードルが下がり、読んでもらう機会を増やすことができるかもしれません。
本記事では、まず手に取ってもらえるマニュアルにするにはどんな工夫ができるか、
「見た目」に焦点をあててポイントを解説していきます。
テキストが読みやすい
「文字が多くて難しそう」、これは真っ先に解消したいです。
まずは、文字まわりの「わかりやすさ」について、2つの観点から考えてみます。
視認性(瞬間的な見やすさ)
文字の大きさや太さ、色、フォントを適切に選ぶことで、見やすさを高めることができます。
ページをめくったときやサイトを閲覧したときに、まず目に入ってほしい見出しは大きく太くしたり、使用するうえでのちょっとしたヒントは小さめ、細めのフォントにしたり、というとイメージしやすいでしょう。
本文など、文章が続く部分は細めのフォントを使用します。
太字がぎっちり詰まっていると、ぱっと見で「情報が詰まっている」という印象を与えてしまいます。
また、フォント選びも重要です。
ついデフォルトの設定で済ませてしまいがちですが、
「見やすい」に重きを置いたフォントをきちんと選びましょう。
ゴシック体はどれも似たり寄ったり…と思われるかもしれませんが、
マニュアルにしたときの印象は大きく変わります。
▼参考記事 |
可読性(読みやすさ)
行間や余白を工夫することで、さらに文章を読みやすくすることができます。
行間(文と文の間)は、なるべく詰めすぎないようにしたいものです。
紙のマニュアルの場合、紙面に限りがあるとどうしても詰めてしまいたくなりますが、
詰めすぎると非常に読みづらくなるので、避けたいところです。
余白は、文章のまとまりどうしの間を指します。
見出しと本文、手順文と補足文、トピックAとトピックB、などのように、
意味のまとまった文章の間を適度にあけると、
読み手はスムーズに「情報のまとまり」を意識することができます。
▼参考記事 |
一つ一つの工夫は小さいものですが、
それぞれの要素をうまく組み合わせることで、ぱっと見の「わかりやすい」印象を作ることができますよ。
文字以外の情報が適切に入っている
次に、「面倒くさい、読む気にならない」の対策を考えてみます。
直球ですが、読む気にならないならば「読まなくてもわかる」ようにする必要があります。
一番わかりやすく、効果的なのはイラストや写真(ここではまとめて「図」とします)を挿入することです。
有名な家具屋の取扱説明書のように、完全にイラストのみで説明するのも手法の1つです。
さておき、文章に対して適度に図が挿入されていると、
格段に「わかりやすいかも」と思ってもらえるようになります。
特に手順の部分は、手順ごとに図があると目で追いやすくなり、読み手による誤読も防ぐことができるでしょう。
また、可読性の話とも関連しますが、
テキストと図の関係性をひとめでわかるようにするためには、ここでも余白を工夫したいです。
囲みを使うことも効果的ですが、使いすぎると
かえって全体がごちゃついて見える原因にもなってしまうので、注意が必要です。
「読む必要がある」とわかる
「知りたいことが書いていない」「読まなくても使える」というのは、
つまりマニュアルに必要性を感じていないことに他なりません。
提供側としては、読んでほしいことしか書いていないのがマニュアルですが、
残念ながらその必要性がなかなか伝わらないのが現実です。
(「読まなくても使える」に関しては、製品そのもののUIが非常に優れている証左かもしれませんね)
そこで工夫したいのは、「何が書かれているかをひとめでわかるようにする」ことです。
といっても単純なことですが、目につきやすいところに、
何が書かれているかがわかるもの、つまり目次を載せることが効果的です。
家電の取扱説明書などで、表紙に目次が書いてあるものを見かけたことはあるでしょうか?
いちいちページをめくらなくても、手に取ったらすぐに内容を把握することができますよね。
「お手入れのしかただけ知りたい」「捨てるときにどうするか知りたい」
のようなピンポイントな情報があるかどうかも、
目次でさっと探すことができるようになっていれば、読んでもらう導線になります。
ただし、内容を列挙すればOK!とはいえません。
全体の構成(どのトピックをまとめるか、どんな順番でまとめるか…)や、
各章、階層ごとのタイトル(見出し)の付け方などにも注意が必要です。
まとめ
ここまで、マニュアルのわかりやすさ、読みやすさを
ひとめで伝えるための工夫についてお話ししてきました。
もう一度、ポイントごとに内容を整理しましょう。
「文字が多くて難しそう…」
→テキストが読みやすい状態になっていること
「面倒くさい、読む気にならない…」
→文字以外の情報が適切に入っていること
「知りたいことが書いていない…」「読まなくても使える…」
→「読む必要がある」とわかること
これらのポイントを意識することで、
「このマニュアル、わかりやすいかも!」と思ってもらいやすくなり、
読み手の心理的なハードルを下げることに繋げることができるでしょう。
本記事が、マニュアル制作の一助になれば幸いです。