「合字(リガチャ)」とは? その意味とリスクについて徹底解説!
投稿日:2021年10月07日
カテゴリー:DTP
投稿者:
マッサン
突然ですが、合字(ごうじ)という言葉をご存知でしょうか?
合字とは、2文字以上の文字を、1文字として表記する文字のことを指します。
抱き字とも呼ばれており、英語では「Ligature(リガチャ)」と言います。
わかりやすいところで言うと、漢字では「麻呂→麿」といった文字のことを指します。
具体例に漢字を挙げましたが、どちらかというと、合字はアルファベットやラテン語などの欧文文字の方で盛んに使われている手法です。
和文文字の合字は常用外の文字が多く、古文書などで使われているくらいで、今ではほとんど使われることがありません。
しかし、欧文文字の組版などを行うDTP(Desktop Publishing)においては、現在も合字が使われています。
この合字についての正しい知識がないままに、DTPソフトの設定で合字機能がオンになっていると、思わぬ問題が起こりかねません。
合字の基本を理解して、適切に設定しましょう。
なぜ合字を使うのか?
冒頭でも書きましたが、合字は、2 字以上の文字を1 つのボディーに合わせたものです。
では、なぜ欧文文字において合字が使われているのでしょうか?
まずは和文文字と欧文文字におけるフォントの違いからおさらいしましょう。
フォントの和文文字は幅と高さが同じ長さになるように設計されています。
たとえば、8 ポイントであれば、その和文文字の幅は8 ポイント(約2.82 mm)、高さも8 ポイントです。
これに対し、欧文文字のフォントは高さも幅もバラバラな上に、文字の形によってはフォント間のアキが大きく見えることがあります。
多くの書体では、小文字のf の上部が右に出ているので、f やi やl との字間が空いているようにみえます。
そこで、f やf やf のつづりが出てきたときに、フォントを合字に置き換えて見た目を調整する、という手法がとられています。
つまり、欧文を美しく見せる目的で、合字が使われているのです。
合字機能のリスク
合字を使えば欧文がキレイに見えるのであれば、全てを合字に置き換えてしまえば良いのではと、お考えになるかもしれません。
しかし、合字に置き換えると、PDF を生成した際、検索できなくなる場合がある、という問題があります。
下の画像のように、見た目では確かに”efficient ”という単語が存在しているのに、検索結果は「一致するものはありませんでした。」となっています。
また、PDF 上のテキストを選択し、コピーして、メモ帳に貼り付けると、余分なスペースが混入する、という現象が生じることがあります。
結論から言えば、合字の設定はオフにした方が良いでしょう。
理由の一つは、Helvetica などのサンセリフ系フォントでは、合字処理が行われた前後で、見た目が変わらないからです。
もう一つの理由は、DTP ソフトでは文字間の調整が自動で行われるようになっており、合字をオフにしても、文字間のアキが気にならないからです。
環境によっては、合字をオンにした状態でも、上述の不具合は生じません。
しかし、不要な合字設定をオンにした状態のままにしておくと、意図せず合字処理が行われ、思わぬ不具合が発生する可能性があります。
いま一度、DTPソフトの設定を確認してみてはいかがでしょうか。
※デフォルトの設定は、ソフトウェアやバージョンによって異なります。
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