活用される手順書の作り方 -作成時に役立つ3つのポイントとは?-
投稿日:2023年03月03日
カテゴリー:業務マニュアル
投稿者:
Oma
業務の効率化、標準化をするにあたって「手順書」の作成は欠かせません。
しかし、せっかく時間をかけて作ったとしても、
手順書はきちんと活用されなければ全く意味がありません。
この記事では、活用される手順書の作り方として、
正しく運用するために押さえておきたい、3つのポイントをご紹介します。
この記事は、特に次のようなお悩みを持つ方におすすめです。
「既存の手順書が活用されていない(読まれていない)と感じる」 |
「これから手順書を作りたいが、何に気を付けるべきか分からない」 |
「作成した手順書が分かりにくいと言われる」 |
手順書の役割とメリットを知る
手順書の役割
手順書のメリット
手順書作成から運用までのフローを知る
活用される手順書の作成ポイントを知る
ターゲット(読者)を意識する
写真やイラストを活用する
分かりやすい見出しを付ける
まとめ
手順書の役割とメリットを知る
業務(作業)にあたって必要不可欠なもの、それは「手順書」です。
手順書とは、文字通り「手順を書いたもの」、
すなわち人が何らかの業務(作業)をつつがなく遂行するために必要な手順を
明確に文書にまとめたもののことを指します。
「作業手順書」「業務マニュアル」など、色々な言い方がありますが、
本記事では「何らかの手順を説明する文書」を包括的に「手順書」としてお話しします。
手順書の役割
手順書はマニュアルの一種です。
冒頭で「何らかの手順を説明する文書」と定義づけしているとおり、
マニュアルのなかでも特に作業などの手順について詳細に記載したものを指します。
さて、手順書は一体何のためにあるのでしょうか?
至極当たり前のことかもしれませんが、今一度根本的に考えてみましょう。
手順と一口に言っても、
「社内で申請手続きをする際の手順」
「大型の工業機械を操作するにあたって必要な手順」
など、内容は様々です。
そのため、どんな内容であれ、
作業を行うときには、まずその手順を知る必要があります。
手順を知る方法は、およそ以下のような形態に分けられるでしょう。
・作業風景を見て、真似をする
・熟練者から説明を受ける
・手順書を確認する
「手順書は何のためにあるか」というのは、言い換えると
「なぜ手順が文書化されている必要があるのか」ということです。
見様見真似や口頭説明でまかないきれないのは、伝達情報の均一性や確実性です。
というと難しく聞こえますが、
要するに「誰でも同じように作業できるかどうか」が担保されにくいわけです。
ひとまとまりの文書に正しい手順がきちんと整理されていれば、
経験年数などに拘らず、誰でもその作業を行うことができるようになります。
もう少し詳しく、手順書のメリットを見ていきましょう。
手順書のメリット
作業プロセスを標準化できる
「手順書」というはっきりした標準があることで、
作業者が複数人いる場合などでも、全員が同じように作業できる他、
作業品質の向上やエラーのリスク低減が見込めます。
作業の継続性を確保できる
「手順書」があることで作業の属人化を防ぐことができます。
不測の事態などで普段担当している作業者が急に離脱しても、
異なる人員が代わりを務めることができ、作業の継続性や品質を確保しやすくなります。
教育の平準化が可能
経験の浅い作業者への作業内容の伝達(教育)がスムーズかつ確実になります。
口頭などでの教育に比べ、作業内容が端的で明快に伝わるため、
研修が効率的にでき、実務投入への時間短縮にもつながります。
改めてまとめると、手順書の役割(メリット)は
・作業プロセスの標準化
・継続性の確保
・教育の平準化
大きくこの3つが挙げられます。
いずれも、業務効率化に直結するものであると言えます。
それぞれのメリットを活かすには、
手順書が読みやすく、理解しやすい内容であることが大切です。
「読みやすく」するために改善できるポイントは様々です。
例えば、一文一文の書き方ひとつ取っても、
少し気を付けるだけで劇的に読みづらさを解消することができます。
具体的な書き方については、下の記事を参考にしてください。
▼参考記事 |
次に、手順書を作成・運用する流れについて整理してみましょう。
手順書作成から運用までのフローを知る
手順書を作成・運用する際には主にPDCAサイクルを使います。
PDCAサイクルとは、
いわゆる「品質マネジメント」においてよく取り入れられる手法です。
手順書などのマニュアルを作成する際にも、
Plan(計画)、Do(実行)、Check(測定・評価)、Action(対策・改善)の
4つのステップで運用されることが多いです。
Plan(計画)
まずは、どんな方針でどんな手順書を作るか、誰に向けた手順書なのか、
完成した手順書のイメージを検討します。
具体的には、
・手順書を使う目的や内容
・手順書を利用するターゲット
・手順書の仕様
・制作スケジュール
・工程ごとの担当者
・基本フォーマット
・執筆時の表記ルール など
この企画部分の認識をふわっとさせたまま制作に着手すると、
結果として、途中で方針があちらこちらに迷ってしまったり、
どこからどこまでの手順を書くのか記載範囲の着地点が分からず、
作った手順書が不完全なものになってしまう可能性があります。
Do(実行)
決定した企画内容に沿って、手順書を作成します。
最初から、いきなり本文を書き始めるのではなく、
まずは目次構成の検討から実施し、全体のボリューム感を把握するのがコツです。
全体像が決まれば、基準となるテンプレートや、スタイルガイドを用意し、
複数人で手分けして執筆を進めることもできますし、
例えば上から順番にではなく、時系列や、書きやすい内容の項目から書き出していくこともできます。
▼参考記事 |
Check(測定・評価)
「手順書が完成したら関係各所に配って、はい終了!」とはせず、
様々な手法で評価し、次につなげます。
よく使用される評価手法には、例えばユーザビリティテストがあります。
ユーザビリティテストは、
手順書の読み手(初心者レベルのユーザーが望ましい)に、
作成した手順書を読んでもらいながら、実際に手順に沿って作業をしてもらいます。
その様子を観察したり、作業者から結果をフィードバックをするというものです。
ユーザビリティテストを行うことで、
その手順書が問題なく作業できるか、分かりにくい部分はないか、使い勝手が良いか、
やり方に問題はないか、注意点に漏れ・抜けはないか、
などを総合的にテストすることができます。
他にも、担当者以外の人(できれば立場や業務内容が近い人)が詳細に評価する、
ピアレビューという手法もあります。
いずれの方法にせよ、第三者のチェックを取り入れることで、
自分が最初にイメージしていた通りに完成しているか、確認することが大切です。
Action(対策・改善)
評価フェーズで得られたフィードバックを、
作成した手順書に反映させて改善を図ります。
また、新たに作成する手順書を企画する際にも活かします。
残念なことに手順書というものは、完璧なものを一度作ればずっと使い続けられる!
というものではありません。
作業者が日々の業務の中で工夫し、より効率の高い方法を見つけることもあります。
また、作業内容の変化や機能の変更など、様々な要因によって、
手順書に書いてある内容と実情が、かけ離れてしまうことも発生します。
重要なのは、手順書を作ったからといってそこで満足せずに、
社内の手順書を把握し、管理・更新・運用のサイクルを常に回すことにあります。
このようにPDCAサイクルを循環させることで、
社内の業務マニュアルへのノウハウが蓄積され、
徐々に手順書を改善することで、使い勝手の良いものに洗練されていくわけです。
活用される手順書の作成ポイントを知る
最後に、手順書を作成するときに押さえておきたい3つのポイントをお伝えします。
ターゲット(読者)を意識する
手順書の主な利用者(読み手)が誰かを意識すること、これが1つ目のポイントです。
「ペルソナ」を設定する、と言い換えることもできます。
読み手の年齢や性別、知識や経験などを具体的に想定し、
その人にあった表現を考えることが大切です。
特に気を付けたいのは、専門用語への配慮です。
本来、手順書を使用するのは、基本的にはその作業に明るくない人がほとんどです。
その作業に関する知識が少なくても、作業内容を正しく理解してもらうためには、
専門用語をなるべく減らすか、説明を入れる必要があります。
その現場で慣用的に使われている一般的でない表現も同様です。
書き替え例: |
疑問点には青を入れる ↓ 疑問点があれば、青ペンでその旨を記載する |
写真やイラストを活用する
必要に応じて写真やイラストを挿入すると、
文章だけでは表現しきれない情報を視覚的に伝えやすくなります。
端的に伝わるので、文を読む手間も減り、誤解も少なくなります。
① フタを反時計回りにまわす
例えば、作業手順の一文にこのような説明文があったとします。
ちょっと考えれば、どちらに回せば良いのかはわかると思いますが、
この「ちょっと考えたらわかる」というのが実は曲者です。
流し読みをしたり、読み飛ばしによって、誤操作を招く原因にもなったりします。
また、動作の一つ一つに「ちょっと考えたらわかること」が挟まっていると、
いちいち手が止まってしまい、非常に読みづらい手順書になってしまいます。
そこで、この例文にイラストを一枚足してみましょう。
① フタを反時計回りにまわす
いかがでしょう?
このような動作手順を示す図を一枚加えるだけで、
わかりやすさが格段に上がったと思いませんか?
手順書が活用されるために重要なのは、
正確な情報を瞬時に把握させることで、
読み手の負担を極力減らし、作業に集中させることです。
▼参考記事 |
分かりやすい見出しを付ける
手順書のボリュームが多いときに気を付けたいのが見出しです。
必要な情報をピンポイントで探すには、
パラパラとページをめくる(画面をスクロールする)よりも、
目次や該当ページ内の見出しを追うほうが早くて確実です。
もちろん検索性が高い、使い勝手の良い手順書にするためには、
分かりやすい見出しを付けることが必要です。
見出しからの検索性を高めるには、見出し文の書き方が重要です。
説明する作業内容を、具体的かつ簡潔に13文字以内で書くのが理想です。
詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。
▼参考記事 |
まとめ
以上、活用される手順書を作るための3つのヒントをお伝えしました。
・手順書の役割を知る
・作成から運用までのフローを知る
・作成のポイントを知る
言われてみれば当たり前のことでも、
手順書の作成途中にはなかなか意識しにくいものです。
今使っている手順書はどうか?これから作るときはどうするか?など、
改めて整理してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、マニュアル制作のトリセツでは、
手順書の作成についてのお役立ち資料も無料で公開しています。
こちらもぜひ参考にしてみてください。
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このようにマニュアル制作のトリセツでは、
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